ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第35話 約束

<<   作成日時 : 2008/04/03 00:15   >>

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さっきの殺し屋の一派か。
ダックは一瞬、息を呑んだ。

しかしこのサングラスの男は痩せている。
どこかで見た面影だ。

その時、男はサングラスを鼻の真ん中にずらした。

男の瞳が見えた。

「ボリスか」

なんとそこにいたのは、昨日国連で会った男だったのだ。

今日はもちろん青いベレーもかぶらず、軍のジャンパーも着ず、普段着の革ジャンで立っていた。

「ちびのサーシャに会ったって?」

ダックは笑わずに言った。

「ああ。踏み潰しかけたよ。でもなぜ知ってるんだ」
「ここじゃ話せない」

ボリスもニコリともしない。

「話すことがあるのか」
「そっちはないか?」

ボリスは3人がCIAであるという確信を持ち続けていた。
3人がチェレビチの山の中でヤミ屋の一団に出会ったということを知っているなら、金を借りていたサイモンの素性もわかっているはずじゃないのか。

ダックは混乱しながらも、ボリスの顔をじっとにらみつけた。

「じゃ、話ってなんだ」
「今夜9時。ビシェグラードのドブラン・トンネルで会おう。緊急だ」

それだけ言うと、ボリスはサングラスを戻し、あたりを伺いながら足早に去っていった。
青いベレーではなく、ハンチング帽をかぶって。

ダックは明朝無理やりギリシャに発とうとしていた。

それはこの「ハンティング・パーティ」を解散させたかったからだ。

しかしそれはもはやダックの意思ではどうにもならないものになっているようだった。

彼らは大きな渦に巻き込まれていた。

今日一日の危険は、まだまだ予兆に過ぎなかったのだった。


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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人
第28話 バーを探す
第29話 招かれざる客
第30話 命がけの問い
第31話 オレンジの車を追え
第32話 「ひざまずけ!」
第33話 クロアチアの小人
第34話 また現れた男


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