|
甘ったるいメロディ。 スタイリスティックスの「ユー・メイク・ミー・フィール・ブランニュー」だろうか。 それはサージャンのケータイの着メロだった。 とたんにサージャンの目から鋭さが消え、斧は地上に降りた。 「これはなんだ。ギャグか」 着メロで生き延びたサイモンは、首を振った。 なんとかこの隙に逃げたいと手を動かすが、とても取れそうにない。 サージャンは甘い声で電話の相手と話している。 「… ああ。今仕事中なんだ。終わったらまたかけるから。愛してるよ… 」 フォックスが痺れを切らして言った。 「さっさと電話を切れ。後にするんだ」 サージャンは名残惜しそうに電話を切ると、また斧を手にした。 「やめろ」 ダックとベンは叫びながら、今度こそサイモンが殺されると覚悟した。 最期に二人の身代わりになると決意したのはサイモンだった。 その真実と友情に、ダックとベンは恐怖とは別の熱い涙を流していた。 サージャンが斧を振り上げたのと、フォックスが扉を開けて出ていこうとしたのは同時だった。 その瞬間、開いた扉から弾丸が飛び込んだ。 弾丸は、サージャンの額のど真ん中に命中した。 フォックスはゆっくりともう一つの扉から逃げていった。 黒い装束に身を包んだ狙撃手たちこそ、CIAの工作員だろうか。 3人はすんでのところで救出されたのだ。 「おい。フォックスは逃げたぞ。フォックスを追え」 気が遠くなりながら、サイモンは叫んだ。 しかし、誰も真面目にフォックスを追いかけたりはしなかった。 「なぜ追わないんだ」 3人は同じ疑問を抱きながら、くたくたになった体を搬送されていた。 小屋には「生と共に死を授かった男」という言葉の真ん中を撃たれたサージャンの目を開いたままの死体だけが残っていた。 ※ 人気ブログランキング に参加しています。現在、小説部門14位↑です。 ボスニア紛争についてもっと知りたい!と思われたら、ぜひ、クリックお願いします。 ※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。 ※ブログ小説目次 第1話 サイモンとダック 第2話 ぶち切れたサイモン・ハント 第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ 第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする 第5話 落ちぶれた相棒 第6話 3人は揃った 第7話 「聞こう。ネタって?」 第8話 ムスリムのカフェで 第9話 盗み聞き 第10話 “生と共に死を授かった男” 第11話 出発 第12話 チェレビチの森で 第13話 セルビアの村はずれのカフェ 第14話 撃たれた3人の車 第15話 フォチャへ 第16話 警察のティータイム 第17話 チェレビチからの命令 第18話 国連の男・ボリスとの出会い 第19話 プロの出番 第20話 フォックスは守られていた 第21話 バーの外の暗闇で 第22話 危険へと続く道 第23話 マルダとウーナ 第24話 サイモンの恋 第25話 サイモンの恋A 第26話 最悪の別れ 第27話 チェレビチの見張り人 第28話 バーを探す 第29話 招かれざる客 第30話 命がけの問い 第31話 オレンジの車を追え 第32話 「ひざまずけ!」 第33話 クロアチアの小人 第34話 また現れた男 第35話 約束 第36話 天国から地獄へ 第37話 嘘 第38話 夜9時。ビシェグラード 第39話 マルヤナという女 第40話 CIAのルール 第41話 追っ手の影 第42話 誰も信用するな 第43話 荒らされていた部屋 第44話 サージャンの小屋 第45話 フォックス、あらわる 第46話 危機一髪の銃弾 |
| << 前記事(2008/04/10) | トップへ | 後記事(2008/04/11)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/04/10) | トップへ | 後記事(2008/04/11)>> |
