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zoom RSS 【小説】 第45話 フォックス、あらわる

<<   作成日時 : 2008/04/10 00:14   >>

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サイモンの口元のガムテープがはがされた。

もはや獲物を手中に収めたかのように、サージャンは血走った目つきでサイモンを見た。

その時、汚れて曇った小屋のガラスの向こうに、悪夢のように人影が現れた。

サージャンはその気配に気づき、彼を待った。

フォックスがとうとう、その姿を現した。

「噂は本当だったか」

サイモンをじっと見つめ、フォックスは薄ら笑いを浮かべた。

汗と涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながらも、サイモンは最後の交渉に毅然と口を開いた。

「待て。誤解している」
「どういう誤解だ」

フォックスは後ろ手を組み、疑いを込めた瞳を細めた。

「我々は全部知っている。特にCIAが現れたときはな」
「俺たちはCIAじゃない」

サイモンが叫ぶと、フォックスは手にした棍棒でサイモンの腰を二度討った。

バシッ、バシッ。

「うっ」

ダックとベンは、自分のことのように身をよじった。

フォックスはサイモンをもう一度見た。

「何週間も噂が流れている。
『CIAがやって来た』と。
この私を捕まえに来たと。
私はすべてを聞き、すべてを知っている」

サイモンは痛みをこらえながらも言い続けた。

「俺たちはCIAじゃない。
ジャーナリストだ。
あんたのインタビューを取りに来たんだ」

フォックスはイライラしながら言った。

「CIAと名乗っただろう」

サイモンは言葉を詰まらせながら言った。

「そんなことは言ってない」
「ボリスが聞いた」

フォックスはボリスの名前を出した。

サイモンは冷静に言った。

「ヤツが勝手にそう思い込んだんだ。
俺たちはあんたに危害を加えるつもりはない」

言い訳は聞き飽きたといわんばかりに、フォックスはサージャンに顎で命じた。

「こいつを始末しろ」

ダックとベンが「やめろ」と叫んだ。

やっとお許しの出たサージャンは、斧を利き手に持ち替え、片方の手を添える。
サイモンの首筋にその斧を当て、振りかぶろうとした。

その時、かすかに音が聞こえた。

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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人
第28話 バーを探す
第29話 招かれざる客
第30話 命がけの問い
第31話 オレンジの車を追え
第32話 「ひざまずけ!」
第33話 クロアチアの小人
第34話 また現れた男
第35話 約束
第36話 天国から地獄へ
第37話 嘘
第38話 夜9時。ビシェグラード
第39話 マルヤナという女
第40話 CIAのルール
第41話 追っ手の影
第42話 誰も信用するな
第43話 荒らされていた部屋
第44話 サージャンの小屋

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