ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第42話 誰も信用するな

<<   作成日時 : 2008/04/08 02:03   >>

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トラックの追跡をかわしたものの、身の危険は続いていた。

3人の車がホテルに着くまで、サイモンはもうひと言もしゃべらなかった。

ベンはいったい誰につけられたのか、あのマルヤナという女は本当に信用できるのかと、頭の中を疑いと恐怖でいっぱいにしていた。

車から降り、ホテルの前まで来ると、サイモンは二人に振り向いて言った。

「用心しろよ。誰とも話さず、ケータイは使うな」
「もってないよ」

ベンはサイモンに携帯電話を道で放り投げられたことを思い出し、弱気に訴えた。

が、サイモンはもうそんなことは忘れていた。
ベンが初めて見る、極度にナーバスな表情をしたサイモンがそこにいた。
獲物を捕らえる直前のハンターは、こんな状態なのだろうか。
それとも捕らえられる前の獲物の状態なのか。
… 自分のそんな思考をベンは小さく首を振って打ち消した。

サイモンは声をひそめつつも強く言った。

「いいな。
のるかそるかの大勝負だ。
どこかで、誰かが俺たちを見てる。
あそこにいるあいつだって話を聞いてるぞ!」
「聞いてない。ホテルの掃除人だよ」

ダックとベンは掃除している男を見た。
作業服に身を包んだ長身の男がモップでエントランスの床を拭いていた。

「誰も信用するなっ」

怒ったようにそれだけ言うと、サイモンはすたすたとホテルに入っていった。

「信用できないのはおまえだ」

ダックは思わずつぶやいた。

3人がホテルの中へと入っていくと、掃除していた男はその背中を手を止めて見送った。

その頬にはざっくりと引き裂いたような傷があった。



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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人
第28話 バーを探す
第29話 招かれざる客
第30話 命がけの問い
第31話 オレンジの車を追え
第32話 「ひざまずけ!」
第33話 クロアチアの小人
第34話 また現れた男
第35話 約束
第36話 天国から地獄へ
第37話 嘘
第38話 夜9時。ビシェグラード
第39話 マルヤナという女
第40話 CIAのルール
第41話 追っ手の影
第43話 荒らされていた部屋

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