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zoom RSS 【小説】 第40話 CIAのルール

<<   作成日時 : 2008/04/05 18:49   >>

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「CIAのルールでね…」

膝の上で手を組み、ベンはクールに語り始めた。

サイモンとダックは顔を見合わせて少し目を見開いた。

「… ぼくたちには権限がない。
支払い権限をもつセクションもあるが、ぼくたちのセクションは小さい。
それが現実だから仕方がないことなんだ…」

マルヤナはその話にじっと聞き入っている。

「…CIAが優秀だという噂は聞いているはずだ。
一発の弾丸で我々は戦争を左右することができる。
誰かに殺されることを怖れてる?
君が怖れるべきなのは、ここにいる3人だ。
ぼくたちの任務の邪魔をするものは消す。
協力する者には手を出さない。
ぼくたちを無視するなら、命は保証しない」

ベンの話はだんだん凄みを増してきた。
マルヤナの表情がこわばり、目が泳いだ。

「… CIAのルールは厳しいんだよ」

少し、沈黙があった。
マルヤナは心を決めたように言った。

「いいわ。彼から明日情報を聞き出すわ」

そう言うと、悔しそうに煙草を吸った。

3人はゆっくり立ち上がり、注意深くバスを出た。
トンネルを出るまで、誰も何も話さなかった。

ボリスの姿はどこにもなかった。
が、3人は窮地を脱してフォックスの居場所までもつかめそうだという状況に、それすら忘れていた。

車が見えてきたとき、やっとサイモンが声を出した。

「よしっ」

ダックがベンの肩を二度三度と叩く。

「よくやった。ベン。おまえを見直したよ」

サイモンも興奮気味にベンを褒めた。

「驚いたぜ。すごい度胸だ。まいった」
「はったり女の化けの皮をはがしました」

ベンはまだ足ががくがくしながら、うれしそうに言った。

「どうなるか分からんが、楽しくなってきたぞ」

ダックはもう明日のギリシャ行きの飛行機のことなどすっかり忘れていた。 


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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人
第28話 バーを探す
第29話 招かれざる客
第30話 命がけの問い
第31話 オレンジの車を追え
第32話 「ひざまずけ!」
第33話 クロアチアの小人
第34話 また現れた男
第35話 約束
第36話 天国から地獄へ
第37話 嘘
第38話 夜9時。ビシェグラード
第39話 マルヤナという女


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