ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第38話 夜9時。ビシェグラードで

<<   作成日時 : 2008/04/05 01:05   >>

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夜9時、3人はビシェグラードにいた。

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町の真っ暗闇は不気味だ。

約束の場所、ドブランのトンネルは町外れの辺鄙なところにあった。

地上戦でおそらくこのトンネルに追い込まれて爆発された車が何台かあったのだろう。
骨にまでしみてきそうな冷たい湿気と、まだ骨が転がっていてもおかしくないような、爆発の名残のにおいがした。
周囲に人影はなく、街灯もない。

トンネルの中は出口はおろか、何も見えない。

ベンはこわごわその中を覗きこんだ。

この場所に来ただけで、もう十分なような気がした。
いったいこの2日間で、ニューヨークにいるジャーナリストたちの何倍働いたことだろう。
そしていったい何度殺されそうになったら、この二人は気が済むんだろう。

「襲われて殺されるんですか?」

そう問いかけても、サイモンもダックも答えてくれない。

トンネルの入り口で、国連の男… ボリスがランプを持って立っていた。

「いいな。俺はここにはいない」

今日のボリスは国連の男ではない、ということだ。

「これがばれたらヤバいことになる」

ランプの明かりにぼんやり浮かびあがる顔が、緊張してひきつっていた。

「ばれたらどうなるっていうんだ」

ボリスはそれには答えず、先頭を切ってトンネルに向かった。

トンネルの中がランプの明かりでぼんやりと浮かび上がる。
天井は黒こげになって燃え残った車。
硝子が割れてくもの巣のようになった車。
その奥に、バスが見えた。

ボリスがふと振り返った。

「彼女は美しい女だが、もしもハメたりしたら… おまえらのタマを切り取って繋げて売るような女だからな」
「そんなことをしに来たんじゃない。ボリス、美しい女って、いったい誰のことを言ってるんだ」

ボリスは3人の顔を確かめるように見た。

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「おまえらのことを話した。
 彼女の名前はマルヤナ。
 彼女がおまえらをフォックスのところへ案内する」

フォックス、という名にサイモンの胸が震えた。



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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人
第28話 バーを探す
第29話 招かれざる客
第30話 命がけの問い
第31話 オレンジの車を追え
第32話 「ひざまずけ!」
第33話 クロアチアの小人
第34話 また現れた男
第35話 約束
第36話 天国から地獄へ
第37話 嘘


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