ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第28話 バーを探す

<<   作成日時 : 2008/03/30 01:56   >>

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3人を乗せた黄色い車は、セルビア人共和国とモンテネグロの国境、チェレビチの山間にある村についた。

山道がふっと農道になり、車はキャベツを掘り起こす老婆の脇を通る。
老婆はしっかりとその車の形を目に焼き付けた。
前によそ者の車を見たのはいつだったか思い出せないほどだった。

民家はあるが、人の姿は表にはない。
首輪のないイヌがうろうろとさまよっている。

どうやらここの村人は畑を耕し、鶏を育てて、ほとんど自給自足で暮らしているようだった。
道端には鶏が放し飼いにされている。
のどかな景色だ。
が、よく見ると家々は石を積み上げた城塞のような壁に鉄の門扉。
戦争のものものしい空気が残る。

牛小屋の陰で坊主頭の小さな子どもが、黄色い車から降りてくる3人を鋭い目つきで見つめていた。

それはまるで、あの頬にざっくりと傷のある男の目線のようだった。

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3人は鶏のいる道を注意深く歩いた。
ダックとサイモンがささやきあう。

「歓迎委員はどこだ」
「少なくともマシンガンの出迎えはなさそうだな」

ベンは不安げにサイモンに尋ねた。

「ここで… どうするんですか」
「ジャーナリストの定番の行動をとる」
「というと」
「バーを探す」

なるほど、とベンはうなずいた。
それも、大学のジャーナリスト養成ゼミでは教えてもらえなかった知恵だった。

サイモンは一軒の民家が扉を開けているのを目ざとく見つけた。

「あれが…バー?」

外からはどう見ても、それは普通の農家だった。

サイモンは躊躇なく先頭を切って、その「バー」に入っていった。


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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人

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