ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第20話 フォックスは守られていた

<<   作成日時 : 2008/03/25 21:28   >>

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ボリスの話は白熱していった。


「国連の連中… 特にフランス人は、フォックスの逮捕には関心ゼロだ。

なぜかって?彼らは本当に見て見ぬふりをするんだ。

こんなことがあった。

ボスニアの要人をサラエボ空港にエスコートする際、セルビア軍のチェックポイントにひっかかって脳天をピストルでぶち抜かれたんだ。

完全武装の仏軍兵士一中隊の目の前だった。

そういうヤツらさ。

英国はといえば決して公には認めないが、フォックスをバックアップすらしてる。

じゃ米国はどうか。

和平協定を仲介しながら、フォックスと裏で手を握り、ヤツが今の権力を手放せば逮捕を忘れるっていうありさまだ。

…何が真実やら。

とにかく裏は汚いことだらけだ」


国や戦争を利用して個人的に金儲けをしている連中とフォックスが結びついているということだろう。

ボリスが「やっとCIAに会えた」と思っている興奮とは別の興奮が、3人に湧き上がってきた。


ボリスの話は止まらない。


「汚い世の中だから、汚いことをやらなきゃ。

セルビア人の中にも、フォックスに商売の利権を奪われたり、ひどい目にあってる人間もいる。

政府は言葉だけで何もしない。

自分たちも美味しい思いをしてるからな。

その手先が俺たちだ。

裏ではCIAやら何やらが…また全然別のことをしてる。

それがあんたたちだろ。

俺が騙されると思うか」


ボリスはたかがビール数本で酔っ払う男だとも思えなかった。

彼自身も、何かフォックスに利権を奪われたとか、実害があるのだろう。

それについてボリスはここでは触れなかった。

しかしフォックスを非難するかどうかということ以前に、彼がアメリカ人ジャーナリストだと名乗る男たちとここで密会していること自体、とてつもなく危ないことだった。

バーの外の暗闇で、その様子をじっと覗く黒い瞳の男がいた。

漆黒のちぢれ髪からのぞく頬に、ざっくりと引き裂いたような傷跡がある男だった。


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※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ
第27話 チェレビチの見張り人
第28話 バーを探す
第29話 招かれざる客
第30話 命がけの問い
第31話 オレンジの車を追え
第32話 「ひざまずけ!」
第33話 クロアチアの小人

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5月10日(土)公開のリチャード・ギア主演映画『ハンティング・パーティ』をブログ小説として先行公開。映画製作秘話や独占ニュース、関連情報など、映画をより深く楽しむためのコンテンツも小説の展開にあわせて掲載します。
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