ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第13話 セルビアの村はずれのカフェ

<<   作成日時 : 2008/03/21 20:54   >>

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のどかな青空の下のカフェに、3人はたどりついた。

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オーストリアにもドイツにもありそうな、ヨーロッパの田舎のオープン・カフェだ。
チェックのシャツを着た大人しいウエイターが注文をとりにくる。

「ビールを三つ」

もちろん、金を出すのはダックといわんばかりにサイモンは振舞う。

ダックはしかたなく、20ドル札をテーブルに置いた。

しかし、三人の話題はカフェののどかさには似つかわしくなかった。

「ヤツに関する情報はどれくらいあるんですか」

ベンは情報収集してからでないと動けないタイプなのかもしれない。
ダックとサイモンは、情報を集めたところで、それが現場では役に立たないケースが多いということをさんざん経験済みだ。

が、ここでは知っている限りの情報を3人で共有する必要があるだろう。

ダックが口火を切る。

「逮捕されるのを怖れて、髪を伸ばし、ヒゲをはやしていると…」
「頭をツルツルに剃ったっていう話も聞いたぞ。
 オレンジ色のユーゴ製の車を引き連れているから、イヤでも目立つ」
「俺が聞いたのは、普通の車じゃなく盗んだ国連の地雷撤去車だという話だが」
「それにも目を配ろう」

サイモンがうなずくと、ベンは首を振った。

「国連の地雷撤去車は1000台もあるんですよ。
 『この車にフォックスは乗ってますか?』って聞き歩けっていうんですか」

聞き込みはジャーナリストとしては基本だ。サイモンはベンのホンキを悟った。

「びびってるのかと思ったら… 捜す気もあるらしい」
「びびってなどいませんよ… ちょっと冗談を言っただけです」

サイモンに見直されて内心ちょっとうれしいベンに、ダックがぷっと吹き出す。

その時、いつの間にやらテーブルに近づいてきていたウエイターが、鋭い目つきで訴えた。

「博士は坊主頭じゃない」

3人はぎょっとして顔を見合わせた。

「逃げも隠れもしないし、チェレビチにはいない。
 彼はすべてを見ていて、すべてを知っている。
 何も聞き逃さない。
 もし、あんたらがフォックスを追い詰めようなどとしたら… 神も助けてはくれない」

ウエイターはそれだけを熱に浮かされたようにと訴えると、また静かに去っていった。

震えながらベンがどちらに聞くともなく、聞く。

「今のはなんでしょう?」

サイモンも顔をこわばらせている。

「警告さ」
「脅しだった」

ベンは搾り出すような声で言った。
さっきビールを飲んでいたにもかかわらず、喉がからからになっていた。


※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



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※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第7話 「聞こう。ネタって?」
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ

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