ブログ小説『ハンティング・パーティ』

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zoom RSS 【小説】 第7話 「聞こう。ネタって?」

<<   作成日時 : 2008/03/18 00:02   >>

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住宅街を見下ろす白い墓地の丘に立ち、サイモンはマイクを握った。

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「終戦5周年の記念式典の模様を…」

その後のセリフは何十種類にも及ぶ。

「ジャマイカ・テレビをご覧の皆さんに、お伝えしました」
「ペルー国立テレビをご覧の皆さんに、お伝えしました」
「ポーランド・テレビをご覧の皆さんに、お伝えしました」
 …
「カット」

ダックが疲れてカメラのスイッチをオフにした。

サイモンは、さっきのセリフと同じように歌うような抑揚でこう締めくくる。
「どこか1局は、買うでしょう」
「世界地図に載ってる国を網羅したよ」

ダックはカメラを片付けながら、首を振る。
ベンが黙ってスタンドを片付け始めた。

サイモンはマイクをベンに向かって放り投げ、独り言のように言った。
「売れなくてもこっちには別のネタがある」

ダックは昨夜のサイモンの真顔を思い出し、ベンに「先にホテルに戻っててくれ」と告げた。

二人はベンから離れて歩き出し、ひそひそ話を始めた。

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「聞こう。ネタって?」

サイモンはそれには答えず、ダックの顔も見ずにこう問い返した。

「電話したか?」
「誰に?」
「ギリシャで待ってる女だよ」

ベンは遠くで機材を片付けながら、二人の姿を追っている。

サイモンは、今度はダックをしっかり見て言う。



「フランクリンのようにさっさとバカンスに消えたら、必ず後悔するぞ」

ダックはふっと胸をつかれたように黙った。

「ヤワになったな、ダック。昔のおまえはどこに? お役御免の競走馬か」
「うるさいっ」
「ニュース番組なんかのスタジオより、命を懸ける報道に戻りたいだろう」

「どういうネタなんだ?」
「ぶっ飛ぶようなすごいネタだ」
「どんなネタだよ。え? 言えよ」

サイモンは戦場を二人で走り回っていたあの頃の険しい顔つきになっていた。

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ダックは息をのんだ。

前線のさなかにカメラをもって突進していけと命じた、あの頃のような。

「この国をこういう状況にしたフォックスって男を知ってるか?」

「ああ」

「居所を突き止めた」


※映画『ハンティング・パーティ』は、5月10日(土)よりシャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。



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※ブログ小説目次
第1話 サイモンとダック
第2話 ぶち切れたサイモン・ハント
第3話 ボスニア・ヘルツェゴビナへようこそ
第4話 ベン、ホリデー・インのバーにデビューする
第5話 落ちぶれた相棒
第6話 3人は揃った
第8話 ムスリムのカフェで
第9話 盗み聞き
第10話 “生と共に死を授かった男”
第11話 出発
第12話 チェレビチの森で
第13話 セルビアの村はずれのカフェ
第14話 撃たれた3人の車
第15話 フォチャへ
第16話 警察のティータイム
第17話 チェレビチからの命令
第18話 国連の男・ボリスとの出会い
第19話 プロの出番
第20話 フォックスは守られていた
第21話 バーの外の暗闇で
第22話 危険へと続く道
第23話 マルダとウーナ
第24話 サイモンの恋
第25話 サイモンの恋A
第26話 最悪の別れ

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☆スクープ情報局☆ 号外:
『ハンティング・パーティ』主演のリチャード・ギア、熱いね。 ...続きを見る
ブログ小説『ハンティング・パーティ』
2008/03/20 08:54

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
ついにやるんですね。
せたP
URL
2008/03/19 21:46
ウェブリブログ

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映画『ハンティング・パーティ』
公式サイト
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5月10日(土)公開のリチャード・ギア主演映画『ハンティング・パーティ』をブログ小説として先行公開。映画製作秘話や独占ニュース、関連情報など、映画をより深く楽しむためのコンテンツも小説の展開にあわせて掲載します。
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